高砂出身の発明家、工楽松右衛門が開発した帆布生地を再現して作られたバックが昨年4月からフランスのパリの店舗で販売されている。当初の計画では1年間の計画だったが販売が延長され、今年8月には新たな商品も追加された。
高砂出身の松右衛門が発明した帆布は、太さの異なる縦糸と横糸を織り上げたもので、それまであった帆布よりも軽くて丈夫だったため、江戸時代中期から昭和初期まで国内の多くの船で使われていた。松右衛門の業績を後世に伝えようと、2010年、高砂物産協会が神戸芸術工科大学と協力し再現。現在は高砂市にある御影屋(高砂市高砂町)が松右衛門帆を製造しバッグなどに利用して販売している。
バックは国内の百貨店などですでに販売を行っていたが、経済産業省近畿経済局が実施する海外販路開拓事業で松右衛門帆かばんが選定されパリへ進出。パリ1区の日本人街サンタンヌ通りから程近いアンテナショップ「メゾン・ワ」で常設展示されテストマーケティングが行われている。
フランス人やポーランド人などさまざまな国から訪れた客の感想や販売数が毎月店舗からリポートとして届けられており、高砂物産協会理事長で御影屋代表の柿木貴智さんは「商品開発の方向性、デザインの見直しに色のセンスの報告は役立つ」と話す。
マーケティングは去年3月でいったん期限を迎え、残っていたバッグをセール販売したところ客の問い合わせが増加。パリの店舗からマーケティングの延長を打診され、今年8月からは、これまでに販売していた「LEO レオ」(ボディーバッグ)のほかに新商品「Vent ベント」(ショルダーバッグ)を追加。柿木さんは「新しい商品への反響を見るのが楽しみ」と意気込む。