地下足袋メーカーの「高砂産業」(高砂市曽根町)が3月、創業50周年を迎えた。
創業当初は農業・林業用の靴を手掛けていたという同社。時流に合わせこれまで、ダイビング用や釣り用ブーツ、地下足袋と主力商品を変えてきた。
社長の加古陽一さんは「社長に就任して約20年、思い出深いことは、ウオーターシューズ、ダイビングシューズを手掛けたことで、ダイビング業界に参入したこと」と振り返る。
1991年には工場が火事に見舞われ、一時は廃業を考えたこともあったという。加古さんは「当時、中国に工場を置いて生産していたが、日本式のやり方を取り入れて、服装自由から作業服を着るように、座って作業をしていたのを立つように、見つけたら捨てていた欠陥品は修理するようにと、考え方をいろいろと変えた」と話す。
現在の主力商品の地下足袋は、京都のテキスタイルデザインを制作する会社「SOU・SOU」の社長との出会いをきっかけに、製造を始めたという。「最初に50足を作り、記念で終わりかなとも思っていたが、現在は年間2万4000足を製造している。15年前はこんな日がくるとは思っていなかった」と加古さん。
今年3月には阪神タイガース公認応援グッズの地下足袋(8,640円)を開発。阪神タイガース公式ショップと高砂産業のウェブサイトで販売している。
加古さんは「地下足袋を作りたいと入社した若い社員もいる。50年を迎えられたのは、従業員や取引先などの人に恵まれたから。今回、阪神タイガースの地下足袋が作れたのは50周年記念みたいなもの」と笑顔を見せる。