JR東加古川駅周辺の飲食店で2月23日・24日、ユニバーサルなバルイベント「ユニバルin東加古川」が開催され、2日間で約600人が食べ歩きを楽しんだ。
事前に3枚つづりのチケットを購入し、21店の参加店から3店を選び飲食を楽しむ同イベント。参加店は「車いすで入店可能」「筆談ボードの設置」「点字メニューの設置」「バリアフリー対応」など、障がいのある参加者の利便性を高める「合理的配慮」に1つ以上対応しているのが特徴。参加店を記載した地図にも、どのような配慮に対応しているかを記載するなど工夫したという。
実行委員長の井上恭子さんは「東加古川発、加古川発祥の事をしようと、2年ほど前から有志でアイデアを温めていた。障がいのある人や外国人、LGBTの人など多様性を認め合えるフラットな関係を作りたい。出会って気付けることがあるので、受け入れる、知るきっかけづくりがしたかった」と話す。
「使う人の目線と使わない人の目線は違う」と井上さん。「ミキサーを使って流動食を作る必要がある人にはコンセントを貸し出すことで、健常者も障がいのある人も家族一緒に食事をとることができる。ユニバーサルな対応をできることを示すことで『私たち行っていいんだ』と安心してもらえる」とも。会議には障がいのある人も参加し、健常者が気付きにくい意見も反映できたという。対応の一部には加古川市の助成制度「加古川市合理的配慮の提供の促進にかかる助成金」を活用した。
今回の参加店には委員会メンバーが声を掛けていった。参加店では「点字メニューは作れるんだ」「筆談ボードは売っているんだ」などの声も聞かれる中、「来場者に楽しんでほしい」と各店が意欲的に対応を進めたという。
グループで参加していた、視覚障がいを持つ男性は「いつもは会合の帰りに食事に行くだけだが、今日はバルのために集まった。店が賛同してくれているのがいい」と仲間と酒を楽しむ。同行援護をしていたNPO法人「アイ・サポートセンター」の西村徹也さんは「普段はヘルパーと一対一の場合が多いが、イベントはみんなで食事をしてコミュニケーションをとる機会になる。障がい者だけで固まらず、一般の人と交ざることが自然では」と話す。
チケット販売などの拠点となったコミュニティースペース「Hikare’(ヒカレ)」(加古川市平岡町、 TEL 079-441-7575)ではボランティアスタッフ約20人が活動し、周辺の道案内や介助が必要な人の確認などを行った。併せて、店の混み具合を確認しフェイスブックで参加者に共有するなどの工夫も施した。
井上さんは「今後はたくさんの店に声を掛けていきたい。加古川全体を巻き込み、さらに全国に広まればうれしい」と期待を込める。