加古川の日岡神社(加古川市加古川町)で8月10日、太平洋戦争で戦った戦没者と加古川に由来する旧帝国海軍の重巡洋艦「加古」の慰霊祭が行われた。
同市を流れる「加古川」に由来する同艦は神戸市にあった川崎造船所で建造され、1926(昭和元)年に竣工した。艦内には同神社の分霊「日岡大神」が祭られていたという。1942(昭和17)年の同日、第一次ソロモン海戦の帰路で米潜水艦の魚雷により撃沈された。
当日は1896(明治29)年に建立された同神社の「義勇奉公之碑」前で宮司と市民など約50人が参列して慰霊祭が行われ、戦艦などを鉛筆で描く鉛筆艦船画家の菅野康紀さんが奉納した「加古」の鉛筆画も飾られた。
艦内神社研究家の久野潤さんによる講演も行われ、世間であまり知られていない軍艦内にある艦内神社の研究内容と「加古」の元乗組員たちと交流した話などに来場者は耳を傾けた。
久野さんは「艦内神社を研究していたご縁で5年前から日岡神社が守護神としてみ霊を分けている『加古』と乗組員戦没者の慰霊祭に参加している。地元の人たちが日岡神社に関わり慰霊することは意義深いもの。戦争の是非を超えて、日本人にとって神社と軍艦がどんなものだったのかを知ってほしい」と話す。
菅野さんは「旧帝国海軍の軍艦の艦内神社を分霊する各地の神社に鉛筆画を奉納することで慰霊と顕彰になればとの思いで活動している。鉛筆画が視覚的に神社と艦船とのゆかりを示して参拝する人に興味を持ってもらえるとうれしい」と話した。