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みんなに届け「花てがみ」 サルビア酵母から作った加古川の酒

蒸しあがった米を冷ます様子

蒸しあがった米を冷ます様子

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 加古川の酒蔵「岡田本家」(加古川市野口町)で2月14日、兵庫県立農業高校生物工学科の生徒たちが、サルビアの花から採取した天然酵母を使った酒「花てがみ」の最終仕込みを行った。

仕込みを終えてほっとする生徒ら

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 「花てがみ」の仕込みは今年で3年目。同校からサルビアから採取した酵母を使った酒造りができないか、と相談を受けたことが製造のきっかけ。酒米には同校の農業科の生徒が栽培した山田錦を使う地産地消の酒だ。

 当日は9時前から同校3年生3人、1年生2人の計5人で仕込みに当たった。酒造りに使う米、山田錦を蒸して冷ます作業から始まった。

 生徒の一人が蒸し上がった米をスコップで放熱用の台に移すと、他の生徒がへら状の道具で米が冷めやすいよう均等にならす。気温が高かった当日は、後で混ぜる酵母が弱らないように念入りに冷ますという。

 「花てがみ」は3段仕込みという方法で製造され、1回目の仕込み(初添)、2回目の仕込み(仲添)、最終仕込み(留添)と3回に分けた仕込みが進むごとに、徐々にたるの中に投入する酵母、水、蒸し米の量を増やしていく。いきなり大量の材料を投入しないのは、デリケートな酵母と出来上がりの味を引き立たせるための配慮だ。

 この日の作業は同蔵の谷原葵さんと下村俊輔さんが生徒の指導に当たったが、3年生が1年生へ教える場面も見られた。今年で3年目を迎え先輩から後輩へ教え合う風土ができている様子だ。

 リーダーの山本英里子さん(3年)は「酵母を使ったパンに興味があったが、まさか本格的な酒を造るとは。意外な高校生活になった」と驚きを話す。「学校で学んだことを酒蔵で実践し、反対に酒蔵で学んだことを学校の学習に生かすことができた」とも。卒業後は大学で植物の研究をしたいという山本さんだが、「成人式には先輩たちと花てがみを飲みたい」と2年後の夢に笑顔を見せた。

 「花てがみ」は3月初旬に出来上がる見込み。今年は山田錦の精米歩合を50%とし、吟醸酒として販売するという。

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