この度、医療法人神甲会 隈病院(神戸市中央区)は、2026年3月7日(土)ホテルオークラ神戸にて、「第26回隈病院甲状腺研究会」を開催しました。本研究会は、甲状腺・副甲状腺疾患に関する最新の臨床知見や研究成果を共有することを目的に、毎年開催している学術研究会です。
今回は「原発性副甲状腺機能亢進症」をテーマに、全国から436名の医療関係者にご参加いただきました。会場では病態の理解から診断、画像検査、治療に関する最新の知見について活発な意見交換が行われました。

第26回隈病院甲状腺研究会の様子
副甲状腺は、喉仏の下あたりにある甲状腺の裏側に位置する、米粒ほどの小さな臓器で、通常4つあります。副甲状腺から分泌されるホルモンを「副甲状腺ホルモン(PTH)」と呼び、体内のカルシウムのバランスを整え、骨や筋肉、神経の働きを支える大切な役割を担っています。
今回のテーマである「原発性副甲状腺機能亢進症」はこのホルモンが過剰に分泌されることで、血液中のカルシウム濃度が高くなる病気です。その結果、骨粗しょう症や腎結石、全身のだるさなどを引き起こすことがあり、近年では血液検査をきっかけに見つかるケースも増えており、特に中高年の女性に多いことが知られています。

(図:副甲状腺)
主な症状
・骨粗しょう症、骨折 ・腎尿路結石、腎不全 ・全身倦怠感、疲れやすさ
・気分の落ち込み、集中力低下 ・吐き気、便秘、食欲低下 ・筋力低下、血圧上昇 など
症状がはっきり出ない場合もあり、気づかないうちに進行することもあるため、気になる症状がある
場合は、まずはお近くの医療機関へご相談ください。
本研究会では、「原発性副甲状腺機能亢進症」をテーマに、診断から治療に至るまで多角的に解説する3つの講演が行われました。
冒頭の開会の辞では、隈病院院長の赤水尚史医師より挨拶があり、日頃の診療連携や協力に対する感謝が示されました。本研究会では原発性副甲状腺機能亢進症に焦点を当て、それぞれの視点から最新の知見を共有する場としたいとの期待が述べられました。

隈病院院長 赤水尚史医師
まず、隈病院内科の門野至医師が、「原発性副甲状腺機能亢進症の病態と診断―ビタミン D 代謝を含
めて―」をテーマに講演しました。血液中のカルシウム値や副甲状腺ホルモン(PTH)をもとに病気を
見つけていく基本的な考え方に加え、本当にカルシウム値が高いのかを見極めるための再検査や補
正の重要性についても解説しました。さらに、似た病気との見分け方として尿中カルシウムの評価な
どのポイントにも触れ、ビタミン D 不足がある場合には数値の見え方が変わり、診断が難しくなり得
ることを、実際の症例を交えながらわかりやすく紹介しました。
続いて、隈病院臨床検査科 生理機能検査室の西村萌英検査技師が、「原発性副甲状腺機能亢進症の
超音波像―局在診断の成功率を高めるために―」をテーマに講演しました。超音波検査を用いて副甲
状腺の異常を見つける方法について、どこをどのように観察するかという基本に加え、甲状腺のしこ
りやリンパ節との違いを見分けるポイントを解説しました。特に、血流の映り方や位置の特徴といった
見落としを防ぐための工夫について、実際の症例画像を交えながら紹介しました。
最後に、隈病院院長補佐の宮章博医師が、「原発性副甲状腺機能亢進症の局在診断と治療―日本のガ
イドラインのエッセンスを含めて―」をテーマに講演しました。検査で異常のある副甲状腺を特定した
後の治療方針の考え方や、手術が必要となる具体的な基準について、日本の診療ガイドラインと当院
での臨床経験をもとに解説しました。近年は自覚症状のない患者さんも増えていますが、そのまま経
過を見ることで骨や腎臓に影響が及ぶこともあるため、適切なタイミングで治療を行う重要性が強調
されました。

隈病院内科 門野至医師

隈病院臨床検査科 西村萌英検査技師

隈病院院長補佐 宮章博医師
閉会の辞では、隈病院副院長の伊藤充医師より、ご参加いただいた皆様への感謝が述べられ、第 26
回隈病院甲状腺研究会は盛会のうちに終了いたしました。
隈病院では、甲状腺・副甲状腺の専門医療機関として、診療に加え研究や教育活動にも取り組んでお
ります。今後も本研究会などの学術活動を通じて知見の共有を図り、診療の質向上に貢献するととも
に、地域医療機関との連携を深め、より安心していただける医療の提供に努めてまいります。
本研究会で講演された内容は、隈病院公式 YouTube チャンネルでもご覧いただけます。
第26回隈病院甲状腺研究会の動画はこちら

隈病院は兵庫県神戸市にある、橋本病・バセドウ病・甲状腺がんなど、甲状腺疾患に特化した専門病院です。1932年の開院以来、地域に根ざして多くの患者様に寄り添った医療を提供してまいりました。当院では、身体の治療だけでなく、心のケアにも配慮した全人的医療を行い、患者様の生活に合わせた診療を大切にしています。最新の医療設備と専門医師・スタッフによるチーム医療によって、安心して治療に専念できる環境を整えています。また、研究や医療者教育にも力を入れ、国内外へ積極的に知見を発信し、世界の甲状腺医療の発展に貢献しています。そして、患者様への分かりやすい説明と同意を重視するインフォームド・コンセントを実施し、安心して治療を受けられる環境づくりにも力を入れています。